「お父さんへの花嫁姿」(ベルコ千歳のお葬式エピソード)

「お父さんへの花嫁姿」
2月の雪が多い季節でした。
ご依頼を受け、打ち合せのためご自宅にお伺いし、お式の段取りをさせていただ き一旦会社へ戻る途中に、冠婚マネージャーより連絡が入りました。「故人様の娘様は、5月に婚礼を控えています」とのことでした。弊社では以前にも、葬儀の際、結婚式姿で故人様を送らせていただいたことがあり、私自身もその 体験はあるのですが、悲しみの中、ご家庭の事情も考えずに、
「娘さんにウェディン グドレスを着ていただいて、お父さんに花嫁姿を見せてあげませんか?」と、提案 していいのか。
またご親族の皆様は私の提案をどう思われるだろうか? と、様々な思いが出て きて、私の心の中で激しい葛藤が始まりました。
そんな私に、弊社のあるスタッフから「吉田さん大丈夫。全力でバックアッブす るので、娘様に提案してみましょう」
冠婚マネージャーからは「必要な備品があれば直ぐ言ってください」と、力強い 応援の言葉をもらい決心がつきました。
それからすぐに結婚式場へ行き、ドレス、タキシードを準備し、最後のお別れの 時間の中で、挙式を行えるように段取りを進めてまいりました。
そして、娘様と旦那様に「お父さんに花嫁姿をお見せしませんか?」とご提案さ せていただきました。
お父さんが元気でいられたのなら、きっと……沢山の涙を浮かべながら、「良いん ですか?」と提案を受けてくださいました。
すぐに冠婚・葬儀全スタッフにその旨を伝え、全力でサポートさせていただきました。
また、ウェディングブランナーと娘様が友人であり、当日の婚礼もプランナーの 彼女が指揮を執るとのことで、葬儀挙式も私と一緒に担当させていただきました。
お二人の誓いの言葉、娘様からのお父さんへの想いを綴ったお手紙、そして弊社 キッチンスタッフの手作りウェデイングケーキは入刀をして、納棺させていただき、出棺となりました。
葬儀を終えて、喪主様からは「本当に素敵なお葬式でした。父も喜んでると思い ます」
との、お言葉をいただきました。 ご親族様からも、有り難いお言葉を沢山いただきました。 娘様、旦那様からは「お父さんに見せられて良かった。本当に肩の荷が降りまし た」とのお言葉をいただきました。
当日花嫁姿を見せてあげることができないと思っていたお二人、その心残りを私 達がサポートさせていただくことで、形にさせていただくことができました。
その後~5月の結婚式へ……
「こんなことがあった後に、結婚式挙げてもいいのかな……?」新婦様からの一言がありました。
ご結婚式の準備を進めるなかで、たくさんの葛藤があったと思います。 「5月19日は、お父様にとって本当に楽しみにしていた日ですので、お父様のため に結婚式を準備しよう」と私はお声掛けしました。
そこからお二人は、お父様をはじめとし皆様に感謝を伝える結婚式をテーマとし、 準備を進めました。
ご結婚式当日、お父様のお写真を持って一人で堂々とチャペルの光のヴァージン ロードを歩く新婦様に、新郎様がお父様に一礼し、手をとり二人でゆっくりと祭壇 を登っていくお姿。
会場内が涙につつまれました。
披露宴会場には、お父様のお席をご用意。 皆様と一緒に楽しんでいただけるよう、乾杯酒やお好きだったお酒と一緒に、大好きな餃子をご用意しました。
特にお二人がこだわって考えたのが、 ダーズンローズセレモニー。
2本のバラの花束には、一本ずつ、感謝、幸福、信頼、愛情など2の意味が込められています。
ゲストの方にバラをお持ちいただき、お二人が集めながらのご人場、新郎様の妹 様にはサプライズでリボンを結んでいたき 花束が完成しました。
新郎新婦様をはじめ、会場内の皆様の沢山の思いがつまったバラの花束を、最後 の親御様への贈呈シーンで、お父様の元へお渡しすることを、ご提案させていただ きました。 司会者のコメントに合わせて、新郎新婦様がお父様へ花束を贈呈。 お父さんがずっと楽しみにしていた結婚式を、無事に挙げられたこと、 2年間育ててくれた感謝の気持ち、
沢山の気持ちがこもった花束贈呈のシーンに、 会場内は涙につつまれました。
ご結婚式すべて結んだ後、 「本当に結婚式挙げてよかったです。ありがとうございました」と、涙を流されな がら、お礼の言葉を述べてくださいました。
このご結婚式を通して私は、新郎新婦様の心に寄り添うことが、どれだけ大切か というのを教えていただきました。 末永くお幸せに。 そして、
お父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
株式会社マリアージュインベルコ千歳支店
このエピソードは、2019年自社出版の
『人生の卒業式 敬愛の心で悔いのない特別な人生の卒業式をお約束いたします』から抜粋したエピソードです。
ベルコ千歳では、
人の死・自らの死を通して「今を素敵に生きる」を考える「終学」に力を入れています。
毎年、日本では2万人もの方が自ら命を絶ってしまいます。人の死とそれに直面するご家族様、ご親族様と向き合ってきた私達は、いつしか自分自身の人生も大切にするようになりました。もし、私達の取り組みが、あなたにとって今を生きるための知恵や活力になれば幸いです。
ベルコ千歳では、
人の死・自らの死を通して「今を素敵に生きる」を考える「終学」教室を行なっております。
お問い合わせボタンから電話やメールで問い合わせてみて下さい!

ベルコ千歳のページを見る

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


上部へスクロール